物理工学コースからのおしらせ
R06年度 物理工学 談話会開催について
物理工学ユニットでは、以下のように談話会を 対面形式で開催させて頂きます。
講演者:吉田 大輔(博士課程後期3年)
場所: 総合研究棟 W202室
演題: 多重化量子中継方式によるロバストかつ効率的なもつれ配送の研究
日時: 2024年6月11日(火)14:00 -
概要:
離れた地点間にもつれを生成する量子もつれ配送は、分散量子計算や量子鍵配送といった応用で大きな期待が寄せられている。特に、もつれ配送を長距離で実現するための方法として、量子中継の研究が盛んに行われている。その中でも、1光子干渉方式は、もつれの伝令に1光子検出のみを必要とする効率的な方法として注目されている。しかし、1光子干渉方式では、もつれ状態の相対位相が光路の揺らぎや制御レーザーの位相揺らぎに敏感であり、高度な技術的要求が存在する。
本研究では、1光子干渉方式の効率性を維持しつつ、位相の要求を緩和することを目指す新しい方式を提案した。この新方式では、1光子干渉方式を複数モードで実行し、もつれが伝令された2つのモードのもつれ状態をペアリングして1つのもつれ状態とする。これにより、もつれ状態の相対位相の位相敏感な部分の多くがグローバル位相となり、光路揺らぎへの要求が約4桁改善することがわかった。さらに、新方式と既存方式の性能を、エンドノード間のメモリから再生される光子のコインシデンスレートで比較した。この比較により、新方式は条件次第では既存方式以上の性能を発揮する可能性があることが示された。また、新方式の実現に必要な多重化量子メモリなどの要素技術についても検討した。
本発表では、新しい量子中継スキームの詳細、既存スキームとの比較結果、そして要素技術の検討結果について報告する。
どなたでもお気軽にご参加いただけます。
ポスターはこちらをご覧ください。
世話人:堀切智之